TAKUTO MUROTA

室田拓人 - LATURE

1982年生。千葉県出身。武蔵野調理師専門学校卒業。【レストラン タテル ヨシノ】を経て、 2010年、【deco】のシェフに就任。ミシュランガイドにてビブグルマン獲得。2016年8月LATURE(ラチュレ)を独立開業し、Gault&Millau(ゴーエーミヨ)では“明日のグランシェフ賞”を、ミシュランガイド東京では1つ星を獲得。現在ミシュランガイド東京3年連続1つ星。食べログアワード2年連続 Silver獲得。狩猟免許を取得し約10年、日本の食の未来のため、子どもたちに食育の授業を開催したり、海の資源を守る“Chefs for the Blue”などの取り組みにも参加したりしている。

NARRATIVE

美味しいの先にある世界を目指して。ジビエをはじめ、命あるものと向き合い続ける。

ジビエ料理を看板メニューとする東京・表参道のフランス料理店【LATURE(ラチュレ)】。そのオーナーシェフである室田拓人は、狩猟免許を有し、自らの手で射止めた獲物を調理するハンターシェフとしても知られている。

そんな室田が料理人の道を志したのは中学生の頃。自分で作った料理を家族から「おいしい」と言ってもらえたことがきっかけだった。

「その気持ちは今も変わっていません。自分が何かを提供することで、まわりの人が喜んでくれることに幸せを感じる。僕にとっては、そのツールが食なんです」

高校時代には近所の洋食屋でアルバイトを始め、高校卒業後は調理師専門学校に入学。はじめて本格的なフランス料理を口にしたのは20歳の頃。今まで知らなかった料理のおいしさや魅力を室田に教えたのは、銀座の名店【ル・マノワール・ダスティン】だった。

専門学校卒業後はホテルでも働いたが、機械的、作業的な仕事が性に合わず退職。レストランに照準を絞り、3店舗ほどで修業をしたのち、2016年8月に【ラチュレ】をオープン。独立前に働いていた【deco】では、6年ほどシェフを務めた経験もある。

「フランス料理の魅力にさらに惹かれたという意味で、修業時代に(フレンチの巨匠と呼ばれる)【レストラン タテル ヨシノ】の吉野シェフと出会えたことは大きかったですね。私がジビエ料理に力を入れるようになったのも、ジビエ料理が得意な吉野シェフの影響は少なくありません」

ジビエは同じ種類でも育った環境によってまったく違う肉質になる。つまり、味や香りに個体差がある—という事実に気づいた室田は、2009年に狩猟免許を取得。毎週のように山に出かけ、自ら射止めた獲物を店で調理し、提供するようになった。

「ジビエは生きてきた環境と食べてきた餌、そして、仕留めたあとにどう処理するかによって、肉の味に格段の差が出るんです。自分で捕まえた獲物を調理することは、料理人にとって究極の仕事だと思っています」

とはいえ、時間的な制約がある以上、すべてのジビエを自分の手で調達することはできない。そのため、厳選されたジビエを信頼する猟師から仕入れることもある。

「猟師もやったうえで料理人の想いを伝えた方が、猟師の方からも受け止めてもらいやすいし、ネットワークも広がりやすいんです。そうやって紡いできた縁が、ラチュレの味を支えています」

一つひとつの個性に向き合う室田の姿勢は、「お客さんの好みに応じて、味つけや熟成具合を変える」スタイルにも貫かれている。

「ご注文いただく前に、私が必ず料理の説明をするのですが、そのときの反応で、お客さんが食べ慣れているかどうかを見極めたうえで、ベストだと思われる選択肢をとるようにしています」

室田は料理人として、料理の社会的意義についても常に考えている。

「おいしさの中に意味がなきゃいけない。ただおいしいだけじゃなく、世の中にいいことをしているという感覚を持ってもらうことは大切だと思っています」

室田が問題視しているのが、山間部などで頻発している獣害だ。山から下りてきた野生の
ノシシやシカが農作物を食い荒らすことによる被害総額は年間200億円にのぼると言われている。

「あたかも動物たちが悪いように報道されますが、元をたどれば、私たち人間が彼らの住んでいる森を自分たちの営利目的のために破壊したことが原因です。ただ彼らを撃ち殺し、捨ててしまうのではなく、おいしく調理し、食べてあげることが私たちのできる罪滅ぼしのひとつだと思うのです。その問題を解決するためにジビエの消費を増やすことが、持続可能な社会づくりにも貢献すると私は考えています」

魚の乱獲が進み、漁獲量が減っている現状も室田は危惧している。

「本来なら国が率先して色々とやっていかなきゃならないと思うのですが、国は動きません。だったら、僕たち料理人が『おいしい』の先を考えて行動を起こしていかなきゃならない。これから料理人になりたいと思う人たちのためにも、自分がおいしい料理を食べ続けるためにも」

今回、室田はビショクルでジビエ(鹿肉)カレーを提供する。

「世の中に鹿肉を使ったジビエカレーはたくさんありますが、これだったらジビエじゃなくてもいいじゃん、と思うものも少なくありません。ジビエのよさ、ジビエらしさを引き出し、その個性を際立たせることが『ジビエカレーが食べたい』と思う方を増やすことにつながると思っています」

事実、ドライカレーにしたのも、ジビエの個性を最大限生かすためだという。

「鹿肉は水っぽいので、炒めて旨味を凝縮させないとよさが出てこないんです。イノシシや熊の油で鹿肉と野菜をよく炒めて、スパイスを加えれば、おいしいカレーのできあがりです」

料理人の道に入り、15年以上。ミシュランガイド東京3年連続1つ星や食べログアワード2年連続 Silver獲得など、料理人として名を上げた今でも、室田は初心を忘れていない。

「料理人にコロナは治せなくとも、日常を忘れさせて笑顔にすることはできるはず。これを機に、テイクアウトやお取り寄せの文化を日本に根づかせていきたいと思っています。どんな方法であっても、『食は人を笑顔にする力がある』と僕は確信しているんです」

DISH

ジビエドライカレー

室田拓人 - LATURE

¥ 2,200 (税込み)

Recommended

パンチフォロン

室田拓人 - LATURE

¥ 550 (税込み)

VOICE

愛知県 女性 20代

N.M

お皿に盛り付けた瞬間漂う食欲をそそるスパイスの香り。アーモンドローストスライスとパンチフォロンを適量まぶすと、見た目も華やかになります。ジビエの個性を活かすためドライカレーにされたとのことですが、それが功を奏し玉ねぎやトマトの水分、赤ワインで丁寧に煮込まれたルーに凝縮された鹿肉の旨味感じることができ、あっという間に完食してしまいました。ビショクルの中でも何度でも食べたくなる逸品になりそうなメニューです。

大阪府 女性 30代

M.I

そのまま食べるとジビエの特徴は余り感じられないけど、スパイスをしっかり混ぜて食べると風味がすごくアップして一気にお店カレーの味に!付属のアーモンドチップスも少し甘味を感じられるのと、食感が楽しくて、あるのと無いのとでは全然違った!余り辛くないし、最初はこれといった特徴はないかなと思ったけど、この2つの付属品をかけるだけで特別感がでた!彼はすっごく苦手みたいで、ひとくち食べてギブアップみたいでした。好き嫌いがすごく分かれるのかなと思う。盛り付け例やオススメの副菜などの紹介があったらもっといいかも!

大阪府 男性 40代

H.N

想像よりもしっかりのドライカレーでした。ジビエって言われれば、ジビエかな?と感じるぐらい、しっかりと後追いの香辛料(パンチフォロン)が効いています。
特別に辛いわけではなく、香辛料がきちんとアクセントなっており、ドライカレー好きだと丁度いいかんじです。日本風の水分多めのカレーが好みの方には、ちょっと
ハードかなと思いますが、先ずは食べてみて!と背中を押したくなるような本格ドライカレーです。キーマカレーを想像するといい意味で裏切られます。
これが冷凍で、温めるだけで食べられるとは、技術の進歩はありがたい。冷蔵庫にストックしておきたい1品です。

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RESTAURANT

LATURE

1982年千葉県生まれ。武蔵野調理師専門学校卒業。レストラン タテル ヨシノを経て、2010年より「deco」のシェフに就任。狩猟免許を取得。ミシュランガイドにてビブグルマン獲得 2016年8月LATURE(ラチュレ)を独立開業。2016年12月Gault&Millau(ゴーエーミヨ)にて”明日のグランシェフ賞”を受賞。2017年11月LATUREをオープンして1年3ヶ月でミシュランガイド東京2018にて1つ星を獲得。2020ミシュランガイド東京3年連続1つ星。食べログアワード2年連続Silver獲得。日本の未来の食のために子供達に食育の授業を定期的に開催。日本の海の資源を守る為に”Chefs for the Blue”の活動をしている。

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